産業保健師は離職率が低いって本当?
保健師資格保持者の方に人気のある職業として「産業保健師」があります。産業保健師は、産業保健分野のコーディネーター的な役割を担い、民間企業、それも比較的規模の大きな企業が勤務先となっています。そのため、産業保健師には給料や福利厚生もその企業の規定が適用されるというメリットがあり、高い給与を求める方や、有給・休日の保証をもとめる方などが産業保健師を目指す傾向にあるようです。
こういった事からも分かるように、産業保健師は保健師の就職先としては条件が良く、また競争倍率もそれなりに高いものとなっています。そういったこともあり、産業保健師の離職率は比較的低く、また求人数も多くないというのが現状です。
但し、産業保健師は高い能力が求められるのと同時に、常に新しい情報を仕入れていないと、あっという間に業務についていけないという厳しさがあります。企業の就労者の健康を管理し、心身のケアを行い、健康増進を促すという産業保健師の仕事は大変遣り甲斐のあるものですが、それだけに専門性も高く、継続的な自己研鑽が求められます。そういった努力が苦痛になった場合などには、産業保健師を続けるのが難しくなり、離職を検討する場合もあるようです。
また、企業の産業保健師の場合は共に業務を行う同僚が少なく、辛い時や苦しい時に励まし合える仲間が作りにくいとされています。そういった孤独感に耐えられない方や、産業医や衛生管理者などとの人間関係悩みを持つ方は、産業保険医を辞め、行政機関や養護学校などに職場を求めるといった傾向にあるといわれています。
いずれにしても、産業保健師は待遇も良く、自分のやりたい研究などを持っている方には大変適した職業です。しかし、広い範囲を対象にした地区活動や健康教育・保健指導を行いたい方や、狭い人間関係に閉塞感を感じる方には少々息苦しいものを感じるのは否めないようです。産業保健師は恵まれた就労環境を約束されている場合が多いですが、それでも離職率が極端に低い訳ではないことを認識しておくと良いかもしれませんね。